こちらでは主に原曲に追加した音楽面について解説させて戴きます。
以下のpdfファイルをお手元に開いたりMIDIもしくはwavを聴きながら読んで戴けたらなと思います。


Espiazione:コーラス楽譜pdfファイル

Espiazione:コーラスMIDIファイル

Espiazione:コーラスwavファイル





今回この楽曲にコーラスをつけようという発想は実は歌詞割をした当初からありまして、なんとなく頭の中にはあるもののまだ形にはなっていない、という状態でした。
楽譜制作ソフトを開いて、まずは曲のフル尺が分からないとどうにもならないということでイントロやメインヴォーカルのピアノパートと間奏等で鳴っているアコーディオンパートを耳コピしました。
これで下準備の完成です。

次に、先生方に唄って戴く際の聴こえ方のイメージとしてそれぞれのお声に近そうな楽器をチョイスしました。


なかのせんせ:クラリネット
とくながせんせ:アルトサックス
こばやしせんせ:トロンボーン
ほりせんせ:フルート
むろおせんせ:チェロ
みよしせんせ:オーボエ
もりせんせ:ホルン
さかぐちせんせ:バリトンサックス


となっております。

イントロではプロレタリアのお3方が登場するのでそのまま3声構成にしようかほんの僅かに迷いましたがなかのせんせには黙っていて戴くことにしました。
彼の中ではまだ確固として『救えていた』と言えていないが故の欠席です。
音楽のコード…和音とは、基本は3つの音で成り立っています。
2音でしか唄われていないので、ここではまだ【未完成】の状態になっております。

コーラスの言葉としては、イントロや間奏、アウトロでは基本「Ah...」や「Ha!」、「La la la...」などにタイトルである「Espiazione」の4パターンのみで構成されています。
他の言葉を持ってくると歌詞に持たせた意味や方向性がブレかねないと思ったので、邪魔にならないようここは徹底させて戴きました。


さて、1番が終わり、シーンとしてはこばやしせんせととくながせんせが撤退し補修に入るのと交代でほりせんせたち5名が潜書に向かうところです。
ここでもそれに添わせて2音目の「Ha Ha!」のところのみ、お2人と5名の7人で構成されています。
音声面でも交代が入りました。
次の「Espiazione」からは2番で登場する5名によるコーラス編成となっております。
楽譜のpdfを開いていらっしゃる場合は、2パターンのメロディー構成になっているのがお分かりでしょうか。
元の曲のコード進行を邪魔しないように気を付けながら、それに添いつつも別のメロディーを複数足していく。
主にクラシックのオーケストラで使われている手法です。


この2番から、歌詞のある場面でもひょこひょことコーラスが入るようになっています。
「続きを書くことを忘れていった」の直後に入る「Ah...」の音。
なかのせんせに1番近いであろうむろおせんせとほりせんせのお2人でした。
ここも2音展開なので、和音としてはまだ【未完成】です。
イメージとしては、『1つの植木鉢に支柱として立てるにはせめてもう1本ほしい』といったところでしょうか。
2つだけでは足りないのです。

「もし続きを書くことが許されるなら」に重ねて入るもりせんせとさかぐちせんせの「許されるなら」。
お2人に再度2度押ししてもらうことによって歌詞の切実さを更に強く補強できるようにと入れさせて戴きました。
もりせんせがメインでさかぐちせんせがハモリです。

ここで先生方の唄ってる左右の立ち位置を書いておきます。

左  さかぐちせんせ  みよしせんせ  ほりせんせ  とくながせんせ 中央 なかのせんせ  こばやしせんせ  むろおせんせ  もりせんせ  右

となっております。
なのでイヤホンやヘッドホンで再生されていた方はこの「許されるなら」は両サイドから聴こえてきたと思います。
ミキシングの左右に振るやり方は私のお家芸なので私がミキシングさせて戴いた他の作品でもかなり多用しておりますので是非ご拝聴戴ければと思います。

真ん中にいくほど音は左右のスピーカーやイヤホンに分けられるので左右に振られている方より弱く聴こえてしまいがちになります。
なので左右に寄っていく方ほど実は音量を絞るようにミキシングしてあります。
ここであれっ? と思った方もいるのではないでしょうか。
そうなんです、とくながせんせはほぼ真ん中にいるのに歌詞を唄うときは非常に目立って聴こえるのです。
特に何もしていないのにはっきりと発声していて全員でヴォーカルやハモリを唄っていてもよく聴こえる……と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしながらこのお人、コーラス隊になった瞬間声の輪郭が溶けて他の方々に埋もれてしまうんです。
私がこれまでミキシングしてきた中でも珍しく、なんとも不思議な特徴をお持ちの方でした。


さて、2番が終わり間奏のコーラスに入ります。
5拍子のところを潜り抜けて、3拍子に戻ってからが本番です。

今回ほりせんせには非常に高い高音域をお願いしております。
どの方よりも飛び抜けて高いところばかり唄って戴きました。
無茶振りに近いのですが、観凪さん図書館の彼は他にもいろいろな曲を数こなしているので安心して渡せました。
逆にひどい無茶振りをしてしまっていたのがあとで判明したのはみよしせんせです。
最高音をいくほりせんせのハモリだけでなくそのオク下の旋律も担当しているので結果的に非常に広い音域を要求していたことにあとから気付きました。
すみませんみよしせんせ……でもとっても素敵に唄い上げて戴けたのでコーラス制作とミキシングをした者としては大満足です(^^

低音域は主にさかぐちせんせとむろおせんせで交代しながらの担当になっていました。
ただむろおせんせはヴォーカル+ハモリでもコーラス隊でも埋もれやすく…お隣のもりせんせにかき消されがちで、特にコーラス隊は私の耳では混ぜながら必死で追うのが限界でした。
今後の課題となっております。


そうして間奏を抜けると、遂になかのせんせが弱腰ながらも立ち上がろうとするところです。
歌詞に付随した物語の解説にもある通り、彼の決心を確固たるものにしたのが同志である2名です。
「救えたのだから」のところで入る「Ah!」は、なかのせんせが立ち上がったことにより遂に彼もコーラスが解禁されます。
ここに至って、ようやくプロレタリアのお3方による3音が揃い和音が【完成】したのです。


さあ最後、アウトロです。
このラストのアウトロでやっとなかのせんせもコーラス隊に加入です。
これにて各人7人分、全56人分のコーラスが展開されます。
楽譜のpdfを開いていらっしゃる場合は、ここもまた2パターンのメロディー編成になっているのがお分かりでしょうか。
「Ha! Ha!」と唄っている方がほとんどで、実は旋律として唄っているのはほりせんせとむろおせんせだけです。
そう、2人分のコーラス隊しかいないのにららるら〜♪のメロディーがあんなに目立っているのです。
ほりせんせのお声はヴォーカル+ハモリではそこそこに主張するのですが、コーラス隊になるととてもしっかりはっきりとした強さと輪郭を以て君臨するのです。
柔らかい口調に惑わされがちですが、声質としてはとても強い力を隠し持っているお方でした。
反対にこばやしせんせはむろおせんせと同じく、いやそれ以上でしょうか、非常に溶け込みやすい特徴をお持ちのようで……私の耳では混ぜた状態で見つけるのは困難でした。
でき得る限り聴こえるようには試行錯誤したのですが…こちらも今後の課題となっております。

そうして最後に全員でタイトルである「Espiazione」を繰り返してフィニッシュです。





これにて解説は以上になります。
いかがでしたか?
この動画の新たな側面を垣間見ることができたなら幸いです。
もしこの解説を読んで思うところがありましたら、是非コメントという形でお渡し戴ければなと思います。
今後も動画『Espiazione』をご視聴戴けると私たちも救われます。
最後まで読んで戴き、また見て聴いて戴き本当にありがとうございました。



2022/7/18  ONOWIR